【登辞林】(登記関連用語集)


[さ]

サーバー(Server) コンピュータネットワークにおいて、機能やデータ等を提供するコンピュータ。メールの送受信を行うメールサーバ、外部からファイルを利用できるファイルサーバなどがある。電子公告規則(平成18年2月7日法務省令第14号)では、「公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置」を「サーバ」と定義している。(→公告サーバ

サービサー(Servicer)(→債権回収会社

埼銀保証(株) 平成2年10月1日、首都圏保証サービス(株)から、商号変更。平成4年9月21日、あさひ銀保証(株)へ商号変更。平成16年4月1日、りそな保証(株)へ商号変更。

債権回収会社 債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年10月16日法律第126号)に基づき、弁護士法の特例として、法務大臣の許可を得ることにより、業として特定金銭債権の管理及び回収をすることのできる会社。この許可は、資本金が5億円以上の株式会社であること、取締役のうち一人以上が弁護士であること等が要件とされている。

債権極度額 改正民法(昭和46年6月3日法律第99号、昭和47年4月1日施行)施行前の根抵当権において、判例によって認められていた極度額の定め方で、極度額の範囲内で、元本債権の他、利息・損害金につき、何年分でも優先弁済権を行使できるとするもの。民法改正後の根抵当権の極度額はこれにあたる。(→元本極度額

債権質 権利質のうち、債権をその目的物とするもの。譲渡をするにはその証書を交付することを要する債権を質権の目的とするときは、質権の設定は、その証書を交付することによってその効力を生ずる(民法第363条)。指名債権を質権の目的としたとき(指名債権質)は、第三債務者に通知し、又は第三債務者の承諾がなければ、第三債務者その他の第三者に対抗することができず、この通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができないない(民法第364条、第467条)。指図債権を質権の目的としたとき(指図債権質)は、その証書に質権の設定の裏書をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない(民法365条)。質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる(民法第366条第1項)。質権の目的である債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済金を供託させることができ、質権は、その供託金の上に存在する(民法第366条第3項)。抵当権根抵当権の被担保債権を質入れしたときは、登記をすることができる。(→抵当権の債権質入)(→根抵当権の債権質入

債権者代位権 債権者が、自己の債権を保全するため、債務者が有する権利(債務者の一身に専属する権利を除く)を債務者に代わって行使することのできる権利(民法第423条第1項)。
債権者代位権を行使するためには、1.債権者が自己の債権を保全する必要がある(債務者に被保全債権を弁済するのに十分な資力がない)こと(無資力要件)、2.債務者が代位の対象の権利を行使していないこと、3.被保全債権が弁済期にあること、4.被保全債権があること、が必要であるとされる。被保全債権の弁済期が到来していない場合には、保存行為を除いて裁判上の代位によらなければ、債権者代位権は行使することはできない(民法423条2項)。
登記請求権の代位行使においては、無資力要件は不要と解されている。
債権者が債務者所有の未登記不動産に対して抵当権を取得した場合には、債権者は、代位による所有権保存登記を申請することができる(大正4年11月6日民第1701号法務局長回答)。抵当権者は、当該抵当不動産の所有権登記名義人の表示の変更(更正)登記を代位して申請することができる(同回答)。
抵当不動産の所有権登記名義人について相続が開始した場合、競売申立受理証明書を代位原因証書(代位原因証明情報)として、「年月日設定の根抵当権の実行による競売」を代位原因とする代位による相続登記を申請することができる(昭和62年3月10日民三第1024号民事局長回答)。
債権者に還付された代位による相続登記の登記済証は、登記名義人となった相続人が登記義務者として登記を申請する場合の、登記義務者の権利に関する登記済証とはならない(登記研究122号34頁、314号64頁)。
(→詐害行為取消権

債権者取消権(→詐害行為取消権

債権者不確知 弁済供託の原因の1つで、弁済する者の過失なくして、債権者を知ることができない状態(民法第494条)。債権者について相続が開始したが相続人が不明な場合、債権が譲渡されたが、債権の帰属について、譲渡人と譲受人の間で争いがある場合、債権が二重譲渡された場合等がある。
会社が、行方不明となったある従業員に対し、退職金の支払義務を負い、当該退職金が二重譲渡され、その優劣が不明な場合、「賃金直接払の原則」(労働基準法(昭和22年4月7日法律第49号)24条1項参照)により、債権者不確知を供託原因とする弁済供託はすることができないが、当該従業員の受領不能を供託原因とする弁済供託をすることができる。(→受領拒否

債権者不出頭供託(→不出頭供託

債権者保護手続 会社債権者を害するおそれのある一定の行為をする場合に、当該債権者を保護するための手続。債権者保護手続を要する場合としては、1.資本金又は準備金の額の減少、2.合併、3.会社分割、4.株式交換・株式移転、5.組織変更などがあげられる。1ヶ月以上の期間を定めて、当該行為に対し異議を述べることができる旨を官報公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告することを要する。この公告を、官報のほか、定款に定めた時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法又は電子公告によりするときは、知れている債権者に対する各別の催告は要しない。但し、吸収分割又は新設分割をする場合における、不法行為によって生じた分割会社の債務の債権者に対する催告は省略できない。債権者が異議を述べなかった場合は、会社の行為を承認したものとみなされ、債権者が異議を述べた場合は、当該債権者を害するおそれがないときを除き、債権者に対し、弁済、担保の提供、財産の信託のいずれかをしなければならない。

債権譲渡登記 動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律に基づき、法人が有する金銭債権の譲渡を登記することにより、第三者対抗要件を備えることを可能とする制度。譲渡人は法人に限られるが、譲受人は法人でなくとも良い。民法上、第三者に対する債権譲渡の対抗要件として、譲渡人から債務者への確定日付ある証書による通知若しくは債務者の承諾が必要とされているが、その特則にあたる。これにより、大量の債権の一括譲渡が容易となり、企業の資金調達の一手段として用いられる。但し、債務者への対抗要件を備えるためには、登記事項証明書を交付してする通知、又は、債務者の承諾が必要となる。通知は、譲受人からすることも可能。取扱法務局は、東京法務局民事行政部債権登録課のみで、全国の債権譲渡登記を取り扱う。

債権譲渡登記事項概要ファイル  動産・債権譲渡登記規則の規定により、債権譲渡登記・質権設定登記等を行った場合に、債権譲渡登記所からの通知により、譲渡人の本店等の所在地を管轄する法務局に備えられるファイル。登記番号、登記年月日、譲渡人・譲受人の表示等が記録され、譲渡された債権を特定する事項は記録されない。

債権譲渡登記ファイル 債権譲渡登記、質権設定登記の登記事項を記録するため、債権譲渡登記所が備える磁気ディスクをもって調製されるファイルで、以下の事項が記録される。
1.譲渡人(質権設定者)の商号(名称)、本店(主たる事務所)、外国会社の場合は、加えて、日本における営業所
2.譲受人(質権者)の氏名(商号、名称)、住所(本店、主たる事務所)、外国会社の場合は、加えて、日本における営業所
3.債権譲渡(質権設定)登記の登記原因及びその日付
4.譲渡にかかる(質権の目的とされた)債権の総額
5.債権の種別、発生年月日、債務者等、動産・債権譲渡登記規則で定める、譲渡にかかる(質権の目的とされた)債権を特定するために必要な事項
6.債権譲渡(質権設定)登記の存続期間、7.登記番号、8.登記の年月日

債権登録課(→東京法務局民事行政部債権登録課

債権の準占有者に対する弁済 債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する(民法第478条)。債権の準占有者とは、社会通念上、債権者であると信じるような外観を呈する者であり、預金通帳と銀行届出印を所持する者などは、これにあたる。かつては、無権限者による、盗難された真正なキャッシュカードの使用と正しい暗証番号の入力により払戻しがなされた事例で、判例は、特段の事情が無い限り、銀行は、免責約款により、免責されるとしていたが、近時、盗難されたキャッシュカードや預金通帳、偽造キャッシュカードによる不正払戻しが多発したことから、判例は、銀行が免責されるための「善意・無過失」につき、厳しく判断する方向へ変化した。平成17年には、「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律」(預金者保護法)(平成17年8月10日法律第94号)が成立し、平成18年2月10日に施行され、預貯金者に故意又は過失が無い等、一定の要件のもと、不正に払戻しがなされた預貯金について、金融機関に対して補填を求めることができることとされた。

債権の範囲 「根抵当権の被担保債権の範囲」を簡略化した表記で、不動産登記における根抵当権の登記事項においては、このように記載される。

再抗告 抗告裁判所の決定に対して、その決定に憲法の解釈の誤りがあること、その他憲法違反があること、又は決定に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があることを理由とするときに限り、更にすることができる抗告民事訴訟法第330条)。再抗告には、上告手続に関する規定が準用される(民事訴訟法第331条)(→一般抗告)(→通常抗告)(→即時抗告)(→特別抗告

最高裁判所 憲法で定められた、日本における唯一・最高の裁判所で、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所(日本国憲法第76条第1項、第81条)。最高裁判所は、 上告、及び、訴訟法において特に定める抗告について裁判権を有し、裁判所法に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有する(裁判所法第7条、第8条)。
最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有し、検察官は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない(日本国憲法第77条第1項、第2項)。
最高裁判所は、その長たる裁判官(最高裁判所長官)及び14人のその他の裁判官(最高裁判所判事)でこれを構成し、これらの裁判官の任命は、その任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際、国民の審査に付され、その後10年を経過した後初めて行われる衆議院議員総選挙の際、更に審査に付され、その後も同様とされる (日本国憲法第79条、裁判所法第5条第1項、第3項)。
最高裁判所は、15人の裁判官全員の合議体による大法廷、又は、5人の裁判官の合議体による小法廷で、審理及び裁判をする(裁判所法第9条第1項、第2項、最高裁判所裁判事務処理規則(昭和22年11月1日最高裁判所規則第6号)第2条)。各合議体の裁判官のうち1人を裁判長とし、大法廷では、9人以上、小法廷では、3人以上の裁判官が出席すれば、審理及び裁判をすることができる(裁判所法第9条第3項、第4項、最高裁判所裁判事務処理規則第2条、第7条)。
最高裁判所の付属機関として、事務総局(最高裁判所の庶務を掌る)、司法研修所(裁判官の研究・修養、司法修習生の修習に関する事務を取り扱う)、裁判所職員総合研修所(裁判所書記官、家庭裁判所調査官等、裁判官以外の裁判所職員の研究・修養に関する事務を取り扱う)、最高裁判所図書館(国立国会図書館の支部図書館)が置かれる(裁判所法第13条、第14条、第14条の2、第14条の3)。

最高裁判所規則 憲法に基づき、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、最高裁判所が定める規則(日本国憲法第77条第1項)。
会社更生規則、会社非訟事件等手続規則、執行官の手数料及び費用に関する規則、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する規則、特定調停手続規則、破産規則、民事再生規則、民事執行規則、民事訴訟規則、民事調停規則、民事保全規則、刑事訴訟規則、家事審判規則、少年審判規則、人事訴訟規則、最高裁判所裁判事務処理規則等がある。
最高裁判所規則は、総務省の法令データ提供システムではなく、裁判所のホームページに掲載されている。

最高裁判所長官 最高裁判所の長たる裁判官で、内閣の指名に基づき、天皇が任命する(日本国憲法第6条第2項、裁判所法第5条第1項、第39条第1項)。
最高裁判所長官及び最高裁判所判事の任命は、最高裁判所裁判官国民審査法(昭和22年11月20日法律第136号)の定めるところにより国民の審査に付される(裁判所法39条4項)。

最高裁判所判事 最高裁判所の裁判官で、その長たる裁判官(最高裁判所長官)以外の者で、14名が置かれ、内閣でこれを任命し、その任免は、天皇がこれを認証する(日本国憲法79条1項、裁判所法5条1項、3項、39条2項、3項)。
最高裁判所長官及び最高裁判所判事の任命は、最高裁判所裁判官国民審査法(昭和22年11月20日法律第136号)の定めるところにより国民の審査に付される(裁判所法39条4項)。

催告の抗弁権 債権者が保証人に債務の履行を請求した時に、主たる債務者が破産手続き開始の決定を受けた場合、又は、行方不明である場合を除き、保証人が、まず主たる債務者に催告すべき旨を請求することができる権利(民法第452条)。連帯保証人は、この権利を有しない(民法第454条)。(→検索の抗弁権

再婚禁止期間 女が再婚する場合に、生まれた子が、前の夫と後の夫とどちらの間の子か不明になるのを避ける趣旨で、その再婚を禁止される期間。「待婚期間」ともいう。女は、前婚の解消又は取消しの日から6ヵ月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。女が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、この規定は適用されない(民法第733条)。妻が、再婚の直前に離婚した夫と再婚する場合にもこの規定は適用されない。この規定に反した婚姻は、取消し得るものとなるが、前婚の解消若しくは取消しの日から6ヵ月を経過し、又は女が再婚後に懐胎したときは、その取消しを請求することができない(民法第746条)。(→婚姻障害)(→婚姻の取消

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